統合失調症　遅発性

遅発性統合失調症の概念 症候的には統合失調症と考えられる40 歳以降の初発例を遅発性統合失調症Spatschizophrenie と定義した。Bleuler M によれば、統合失調症の約15％が遅発性統合失調症であり、女性に多いという。また、その約半数は早発例の妄想型に相当する病像を呈するが、他の約半数は�@パラフレニー様、�A不安・抑うつから移行する緊張病、�B急性錯乱性、という若年例では少ない病像を呈する３群からなるという。また、Kraepelin E （1912）は、早発性痴呆を、若年に発症し次第にその水準が低下するものとして定義した。しかし、彼自身も、高齢発症で認知水準の低下を認めない例があることに疑問を感じており、それをパラフレニーと呼んで、早発性痴呆と区別した。パラフレニーは妄想以外の精神症状が目立たない。Roth M（1955）は60歳以降の初発例が少なからず存在することを指摘し、これを遅発パラフレニーlate paraphrenia と名付けたRoth 自身は遅発パラフレニーを統合失調症の1 異型と考えているようである。また、Rothは遅発パラフレニーを60歳以降としたが、臨床現場では50歳代６）でも同様の病態が認められる。この遅発パラフレニーは、後にICD-9に採用されたが、ICD-10では持続性妄想性障害という名称となった。